2023年10月、その年、私たちは6月からオランダのSpaarndamという村で生活していたのですが、パートナーのRemcoを通じて、Heinde & Verreの創業者でありチョコレート職人でもあるJan-Willem、Ewaldと出会いました。
正直なところ、それまでチョコレートやボンボンは「それなりに美味しいな」と思う程度で、甘いものと言えばどちらかというとアイスクリームやチーズケーキの方が好きでした。世界各地で甘いものの食べ比べをしていたのですが、なぜかその年のオランダではボンボンショップを巡ったり、ボンボンのワークショップに参加したりしていたのを覚えています。
では、なぜビジネスとしてやってみようと思ったのかというと、大きな決断というよりも、「チョコレートを日本に届けることが自然な流れに感じられた」からだと思います。
いろいろ細かなきっかけはありますが、大きなポイントを3つ挙げるとすれば:
度肝を抜かれるほど美味しかったこと
長年サポートしてきた「日本サステイナブル・レストラン協会」を通じて、サステイナブルな背景を持つ“本物のチョコレート”を、日本のシェフや消費者に届ける価値があると感じたこと
Jan-WillemとEwaldとの対話を通して、彼らのつくるチョコレートをもっと広めたいと思ったこと
この3つが、私たちの背中を押してくれました。
2019年からは「Yui International」という、ヨーロッパ――主にオランダのサステイナブルな商品を日本に紹介する個人事業を続けてきましたが、Chocolate Orandaの取り組みはそのコンセプトにもぴったりと重なりました。
今振り返ってみると、チョコレート業界や製菓業界について何も知らなかったからこそ、スタートできたのかもしれません。実際には想像以上に多くのチョコレートブランドがあり、その中に新しく入っていくことは簡単ではありませんでした。
さらに、始めてまもなく“カカオショック”が起こり、「よくこんなチャレンジングな時期に始めたね」「勇気あるね」と言われることも多くなりました。
気候変動によるカカオの収穫・品質・価格への影響、政治情勢による輸出入の困難、円安などの世界経済の影響――。
取り巻く環境は常に変化し、決して平坦な道ではありません。
それでも私たちChocolate Orandaは、「本当に伝えたい」と思える素晴らしいチョコレートがある限り、それを日本のお客様に丁寧に届けていきたいと考えています。